島の脇役だった橙が、
最高級のアロマに。
島では主役になれなかった橙(カブス)が、最高級アロマに変貌する理由
- ネロリ
- ビターオレンジ
- プチグレン

中島の実家を継ぎ、実直に柑橘と向き合う久保さん。「一応、畑に残してあるだけ」と語るのが、島で古くから鍋の調味料として親しまれてきた橙(カブス)です。
しかしアロマの世界では、カブスは花から『ネロリ』、葉から『プチグレン』、果皮から『ビターオレンジ』と、1本の木からまったく異なる3つの香りを生み出す特別な存在。島の農家さえ知らなかった、その価値に光を当てます。
まず、中島で柑橘農家になろうと思ったきっかけを教えてください。
ぶっちゃけて言うと「無理やりやらされた」のがきっかけです(笑)。実家が農家だったので、それを引き継ぐために島に帰ってきました。最初は嫌だったんですけど、心のどこかで「自分は元々農家になるんだろうな」とも思っていましたね。

今回仕入れさせていただく「カブス(橙)」について教えてください。島では今、どのような立ち位置の品種なんですか?
カブスは生食するものではなく、基本は鍋の割りポン酢なんかに使う「搾るための柑橘」です。果汁をほんのちょっと垂らすだけで、抜群に美味しくなるんですよ。
ただ、今はわざわざ買う人も少なくて、積極的に作っている農家はほぼいません。僕の畑でも、一応「あってもいいか」くらいの感覚で、ほとんど手をかけずに自然のまま置いている状態です。収穫時期が人気の『紅まどんな』などと被ることもあって、農家個人としては売るのが難しい品種なんです。
実はアロマの世界では、このカブス(橙)の「花」から取れるオイルは『ネロリ』と呼ばれていて、他の柑橘では代用できない最高級品なんです。さらに「葉」からは『プチグレン』、「果皮」からは『ビターオレンジ』が取れる、捨てるところがない奇跡の木なんですよ。
へえー!カブスの木まるごと全部がアロマになるんですか。知らなかった……。農家からしたら、そんな価値があるとは全く思っていないです(笑)。


レモンなどの精油が2〜3千円だとしたら、同じサイズのネロリは2万円以上するほどの価値があるんです。このカブスが希少なアロマになることについて、どう思われますか?
いや、本当にそういう良いものに生まれ変わるなら嬉しいですね。
今までは食べるもの、売るものとしては完全に「脇役」みたいな扱いだったので。そんなに希少価値があって、そっちの世界で活躍できるんだったら、「カブスの木を残しておいてよかったな」と本当に思います。
「カブスの木を残しておいてよかったな」と
本当に思います。
久保さんが感じる、中島の柑橘の強みはどこにあると思いますか?
ずっと中島にいるので当たり前になっていましたが、外に向けて販売し始めてから、お客さんに「中島のみかんは本当に美味しい」とものすごく言われるんです。
島外の人から「他のみかんと全然違う、衝撃を受けた」という声を聞くたびに、やっぱりこの島で作る柑橘は特別に美味いんだな、と改めて気づかされました。

最後に、このカブス(ネロリ)の香りをどんな人に届けたいですか?
都会の人に届くのももちろん良いことですが、僕は「中島でカブスを作っている農家仲間」にこそ届いてほしいなと思います。
僕ら農家はみんな、カブスを「手間をかけるほどのものではない脇役」だと思っているので(笑)。自分たちが育てているものに、実はこんなに素晴らしい価値があって、こんな風に素敵なアロマになるんだっていうことを、生産者側にも知ってもらえたら面白いなと思いますね。

